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手紙と言葉とお茶と。
中国語で「手紙」はトイレットペーパーのことらしい。
手にする紙。確かにそうだけど、シチュエーションの違いが甚だしい。


さて、今回は書く方の「手紙」。先月の旅で知り合ったお茶師さんに宛てた。
そのお茶師さんとは例の程陽村で出会った。彼は村を放浪中の小生に声をかけて、自身の茶室に招いてくれた。茶室は田んぼの脇にある小さな四阿で、壁には瓢箪の蔦が絡まり、いい具合に木漏れ日が差し込んでいた。テーブルには行儀よく中国茶器が並んでいた。彼は僕と同じ年くらいで、とても真剣な手つきと表情でお茶を淹れてくれた。対する小生は、たち込めるお茶の香りがあまりによくて、思わず笑ってしまった。お茶を頂き、お代は?と小生が聞くと、彼は笑顔で首を振った。

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以来その村にいる間、その茶室に通うことになった。彼も嬉しそうに小生を誘ってくれた。不思議だった。お互い言葉は通じないのに、お茶と筆談だけで何時間も心地よい時間が流れた。日頃、言葉も通じて、お酒の力を借りても話が通じないことは幾らでもある。この違いはなんだろう?どうして初対面で、お茶だけでこんなに親密な空気をつくれるんだろう?と不思議に思った。

最後の夜、お茶をいただいた後、満点の星空のもと、互いに「朋友!」と声を掛け合い、握手を交わして別れた。なんというか、ちょっとした女の子との出会いよりも胸がときめいた(笑) 


手紙と言葉とお茶と。_d0065332_192376.jpg

ともかく、この出会いは旅の一番の思い出であるとともに、人との繋がり方の可能性を小生に教えてくれた。だから、少しでも思いを返したくて手紙を書いたわけだ。

手紙は2~3日で届くらしい(中国へは船便より航空便の方がなぜか安い)。あっという間だ。あの村へは1本の道しかないはずだから、その手紙は小生が1ヶ月前の行程をそのまま辿り、世界遺産のあの橋を渡って、彼の手の元に届けられるだろう。たった1600円であの村に飛んでいける手紙がうらやましい。

せっかくなので手紙とともに地元静岡のお茶も一緒に包んだ。手紙は日本語と中国語を併記した。喜んでくれるだろうか、それとも驚くだろうか。
まぁいずれにせよ、その「手紙」でお尻を拭かれることはないだろうけれど。
by neko1dozen | 2010-09-05 19:04
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街と山と猫と        おいしいごはん
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