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国境の南、太陽の西 /村上 春樹
忙しい時こそ、余分なことをしたくなるもので… 卒論のさなか、よりによって村上春樹に手が伸びてしまった。まったく、やれやれ。

冬になると、決まって村上春樹が読みたくなる。それは、レモンを見ると唾液が出るとか、中央線快速が土日は高円寺通過とかいった類の、僕にとっては極めて当たり前の現象なのだ。初めてノルウェイの森を読んだのが、この季節だったからかもしれない。とにかく、僕にとっては、それは宿命的で不可避な、いわば通過儀式のようなものなのだ。

(なんつって、ちょっと村上春樹っぽい文章で書いてみたりもする。やれやれ。)

国境の南、太陽の西 /村上 春樹_d0065332_1363348.jpg
この前作、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」に続く、哲学性の強い作品。バブルって日本の状況にもするどく反応してる。なにより、文章の濃さったらすごくて、マジ特濃。やっぱり村上春樹のピークがこのあたりだったんじゃないかなと思う。前作から4年、じっくりコトコト生み出しましたってのが、ありありと伝わってくる。


だる長ってのが初めての感想だった。けど、何故かはまってて、かれこれ今回で4回目?くらいだっけ。いまだに発見がある。何より、1章の終わりの2ページは、春樹の文章の中でNO1だと思う。12章のラストあたりもヤバい。すげぇんだ。

「そして僕は長いあいだ、彼女に対して僕の心の中の特別な部分をあけていたように思う。まるでレストランの一番奥の静かな席に、そっと予約済の札を立てておくように、僕はその部分だけを彼女のために残しておいたのだ。会うことはもう二度とあるまいと思っていたにもかかわらず。」 (1章ラスト抜粋 一部略)

このフレーズ、書けたら、土木やめて小説家めざすね。ほんと、マジ萌え。


………卒論やろう。
by neko1dozen | 2005-12-15 14:00 | 音楽・小説迷子
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