表参道ヒルズ/安藤忠雄建築研究所 森ビル設計共同企業体
六本木に続き、6番目のヒルズの誕生。いざ、できあがってみると、あっという間だった気がする。まぁ、きっとがっかりするんだろうなとは思いつつ、なんだかんだで楽しみだった。シンボルマークにツッコミを我慢しつつ!、建築を見ていく。 同潤会の立替計画自体は、1968年から始められているというのだから、ここまではずいぶん長い道のりだったんだと思う。当初は裏手の小学校も巻き込んだ計画が検討されてたけれど、結局妥協という形で、今の敷地サイズに落ち着いたと聞く。 ちなみに、サイトは旧渋谷川のほとりってことで、表参道のちょうどくぼみに位置してる(模型を作ったから間違いない) んまぁ、ヒルズぢゃない。 エンタランスをくぐるとすぐに、メインの吹き抜けに出る。手前から、階段とスロープが展開していて、思わず、おおっ!となる。入りでぐっと惹きつけるあたりは、安藤忠雄らしい。地下3階、地上3階を、スロープでぐるぐる回ってって、その周りに店舗が建ち並ぶ。スロープは、今日は下り優先みたいになってたけれど、本来は自由に回れるみたい。両サイドの距離感やエスカレータの収まりが、なるほど、いいね!幅員がちょっとばかし狭いのと、6周って長さが難。都会育ちのセレブの足は、3周目くらいでバテる。 このプラン、聞いて一番に思い出したのが、韓国ソウルでみたサムジーキルって建築だった。同じ商業施設で、スロープをぐるぐる回ってく。ただ、こちらは完全に屋外。一方で、表参道ヒルズは屋内ってことで、表情はぜんぜん違う。 サムジーキルでは、床面に空調を内包しないことでスラブが軽い。幅員にもかなり余裕がある。 一方、ヒルズでは分厚いスラブ、打ちっぱなしでもなく、かなり無個性な表情。写真は、最上階の部分で、むりやりぎゅぎゅっと収められていた。こういうトコロを丁寧に作って欲しい。 表参道ヒルズについても、もともとは天井はあけて、自然の光、太陽光を取り込むって聞いていた。たぶん、採光や空調なんかの条件でぎりぎりでダメになったんだと思う。光が主役としてきたこれまでの安藤建築と照らし合わせてみると、致命的な妥協ともいえる。 もう一つ決定的に残念だったことは、せっかく緑化された屋上が開放されていないことだった。スロープを登りきるとレストラン街につきあたり、来客者はもときた道を戻ることになる。 もし、ここで、屋上があったら…って思ってしまう。ケヤキごしに見れるであろう表参道の風景をふと想像してしまう。38戸という限られた住居の確保のために、屋上が閉ざされたのならば、とっても残念なことに思う。晴天吉日な本日、表参道の中心で日向ぼっこしたかった。 それでも、大階段と三角形のスロープというダイナミックさは驚かされる。安藤忠雄の建築では、明確な構成、動線が描かれないかわりに、ぐっと惹きつけるシーンがどこかで用意されていている。一瞬で、鮮明に焼きつくようなシーン。そういう意味で、詩的というよりも、絵的な建築なんじゃないかと思う。今回のを見て改めて思った。
by neko1dozen
| 2006-02-17 15:07
| 東京・建築迷子。
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